下山晴彦の研究分野は、大きく分けて「発達臨床心理学」と「臨床心理学論」となります。
発達臨床心理学
現代日本社会における青年期の発達の様相を実証的に研究し、その研究結果に基づいて青年の心理援助の技法を開発、実践してきました。
また、青年期の心理援助の統合的な方法を提供するコミュニティ活動として学生相談に注目し、実践的フィールドワークを通して学生相談システムを開発してきました。
特に日本特有の青年期心理としてスチューデント・アパシーに注目し、その実態を実証的調査研究によってすると共に援助技法を開発し、それを学生相談というシステムに位置付ける統合的援助論を提示しました。
さらに、近年では、子どもや若者の心理障害に注目し、その治療法として認知行動療法のプログラム開発と効果研究を行っています。
このテーマに関連する代表的著作と訳書としては以下のものがあります。
- 下山晴彦 1997 『臨床心理学研究の理論と実際-スチューデント・アパシー研究を例として-』 東京大学出版会
- 下山晴彦 2006 『子どもと若者の認知行動療法ワークブック』金剛出版(Stallard,P. 2002 Think Good-Feel Good: A Cognitive Behaviour Workbook for Children and Young People. John Wiley & Sons)
臨床心理学論
20世紀後半以降、世界規模で臨床心理学は急速な勢いで発展してきています。これは、社会システムの変化に伴って心理援助の専門職と専門活動が求められるようになってきたことと密接に関連しています。
日本においても1990年代より臨床心理学への社会的要請が増大し、臨床心理学の発展と、それに伴って臨床心理の専門活動を実践する専門職の要請が重要なテーマとなっています。そこで、世界の流れと日本の流れを比較しながら臨床心理学の発展を研究することを通して、日本の臨床心理学の課題を明らかにしてきました(「臨床心理学発展の比較研究」)。
その成果に基づき、社会的要請に応え、専門活動を実践できる臨床心理士を養成するカリキュラムを開発し、提案してきました(「臨床心理カリキュラム論」)。
ここでは、まず実践技能の教育訓練の方法論を開発することが急務となっています。そこで、日本の実情に適した実習法を開発提案、その成果を発表しています(「臨床心理実習法開発」)。
さらに、臨床心理学には、その実践の有効性を社会に示す説明責任があると考えています。そのためには、実践活動の有効性を実証的に示す研究が必要であり、その方法を提案しています(「臨床心理学研究法」)。
このテーマに関連する代表的著作と訳書としては以下のものがあります。
- 下山晴彦 2000 『心理臨床の基礎1-心理臨床の発想と実践-』 岩波書店
- 下山晴彦 2006-2007 『テキスト臨床心理学全5巻』誠信書房(Davison,G,C. Neale,J,M. & Kring,A,M. 2004 Abnormal Psychology 9th John Wiley & Sons)